肘の上が痛いと、日常のちょっとした動作でも負担を感じ、「なぜ痛むのだろう」「このまま放置して大丈夫なのか」と不安になる方もいらっしゃるでしょう。
肘の外側に痛みが出る代表的な原因には、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)があり、スポーツだけでなく、家事や仕事、パソコン作業などによる繰り返しの負担でも発症します。
この記事では、肘の上が痛む主な原因や傷むきっかけ、検査や治療法、自宅でできるセルフケアまで詳しく解説します。
痛みの特徴を知り、適切な対処につなげるためにぜひ参考にしてください。
肘の上が痛い時に疑われる主な原因
肘の上が痛む場合は、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)のほか、日常生活での使いすぎや加齢、スポーツ・仕事による繰り返しの負荷などが関係します。
痛む場所や動作によって考えられる原因は異なるため、ここでは肘の上に痛みが出る主な原因を解説します。
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最も多い原因はテニス肘(上腕骨外側上顆炎)
肘の上、特に外側に痛みがある場合、代表的な原因の1つがテニス肘(上腕骨外側上顆炎)です。
手首を反らす筋肉の腱に繰り返し負担がかかることで、肘の外側に痛みが生じます。
テニスをしていない方にもみられ、家事やパソコン作業、荷物を持つ動作などがきっかけになることもあります。
また、物をつかんで持ち上げる、タオルを絞るといった動作で痛みが強くなるのが特徴です。
なお、症状が進むと日常動作にも支障が出るため、痛みが続く場合は早めに状態を確認することが大切です。
日常生活での使いすぎや加齢による炎症
日常生活で腕や手首を繰り返し使うことも、肘の上に痛みが出る原因です。
例えば家事やパソコン作業、荷物の持ち運びなどが続くと、肘周辺の筋肉や腱に負担が蓄積し、炎症や痛みにつながることがあります。
また、加齢によって筋肉や腱の柔軟性が低下すると、同じ動作でも負担を受けやすくなります。
そのため、痛みがある時は負担の大きい動作を控え、無理に使い続けないことが重要です。
普段の作業量や腕の使い方を見直し、休息を取り入れることで、症状の悪化を防ぎやすくなります。
スポーツや仕事による繰り返しの負荷
スポーツや仕事で同じ動作を繰り返すことも、肘の上に痛みが出る大きな要因です。
テニスやゴルフ、卓球などでは、ラケットやクラブを振るたびに手首から肘へ負荷がかかります。
また、仕事で工具を使い続ける、重い荷物を何度も持つといった作業でも、筋肉や腱への負担が蓄積します。
こうした反復動作が続くと、組織に小さな損傷が生じ、痛みが長引いてしまうでしょう。
そのため、作業や運動の合間に休息を取り、フォームや力の入れ方を見直すことが大切です。
肘の上に痛みが出る主なきっかけ
肘の上に痛みが出るきっかけには、スポーツや仕事で腕や手首を繰り返し使うことに加え、加齢による腱の変化などが関係します。
特に、同じ動作を長時間続けると、肘周辺へ負担が蓄積されるでしょう。
ここでは、痛みにつながる代表的なきっかけを3つに分けて解説します。
テニスやゴルフなど腕を酷使するスポーツ
テニスやゴルフなど、腕を繰り返し使うスポーツは肘の上に痛みが出るきっかけの1つです。
ラケットやクラブを握って何度もスイングすると、手首を動かす筋肉や腱に負担がかかり、その力が肘の外側へ集中します。
また、フォームの乱れや練習量の増加によって負荷が大きくなる場合もあります。
特に、十分な休息を取らずに練習を続けると、腱の回復が追いつかず痛みが長引くことも少なくありません。
運動後に痛みが出る時は無理に続けず、練習量やフォームを見直すことが大切です。
料理人や大工など手首を多用する職業
料理人や大工など、手首や腕を繰り返し使う職業では、肘の上に痛みが出ることがあります。
包丁を使い続ける、工具を握って作業する、重い物を何度も持ち上げるといった動作では、前腕の筋肉や腱に負担が蓄積しやすいためです。
また、同じ姿勢や動作を長時間続けることも負担を増やします。
さらに、作業量が多い日が続くと十分に回復できず、痛みが長引くこともあります。
作業の合間に休憩を取り、持ち方や姿勢、作業方法を見直して肘や手首への負担を減らすことが重要です。
40代以降に多い加齢や性別による影響
テニス肘は40代以降に多くみられ、加齢に伴う腱の変化も発症に関係するとされています。
これは、年齢を重ねると腱の柔軟性や回復力が低下し、以前と同じ作業量でも負担が蓄積しやすくなるためです。
また、性別によって発症頻度や症状の現れ方に違いがみられるとの報告もありますが、個人差があります。
特定の年代や性別だけに起こる病気ではないため、年齢や性別だけで原因を判断することはできません。
そのため、仕事や家事、スポーツなど日常的な負荷も含めて考えることが大切です。
整形外科で行われる診断と検査方法
整形外科では、問診や触診に加え、必要に応じて画像検査や痛みを誘発する理学的テストを行い、肘の痛みの原因を絞り込みます。
テニス肘だけでなく、骨折や関節の異常などとの鑑別も重要です。
ここでは、代表的な診断・検査方法を解説します。
レントゲンによる骨や関節の確認
レントゲン検査では、肘周辺の骨や関節の状態を確認します。
テニス肘は腱の障害が中心となるため、レントゲンで明らかな異常が映らないこともありますが、骨折や関節の変形など、別の原因を除外するうえで有用です。
また、症状や受傷歴などから必要と判断された場合に実施され、結果を踏まえて追加の画像検査や治療方針が検討されます。
肘の痛みを診断する際は、画像だけでなく問診や触診、理学的テストと組み合わせて判断することが重要です。
トムセンテストによる痛みの誘発
トムセンテストは、テニス肘の診断を補助する代表的な理学的テストの1つです。
肘を伸ばした状態で手首を反らす動きをしてもらい、検査者が抵抗を加えた時に肘の外側へ痛みが出るかを確認します。
そこで痛みが誘発される場合は、手首を反らす筋肉の腱に負担がかかっていることを示す所見の1つとなります。
ただし、このテストだけでテニス肘と確定することはできません。
医師は痛む場所やほかの検査結果も合わせて総合的に診断します。
チェアテストで椅子を持ち上げて判定
チェアテストは、物を持ち上げる動作で肘の外側に痛みが出るかを確認する理学的テストです。
一般的には、手のひらを下に向けた状態で椅子の背もたれなどを持ち上げてもらい、上腕骨外側上顆周辺に痛みが誘発されるかを診ます。
この動作では前腕の伸筋群に力が入り、腱の付着部に負荷がかかるため、テニス肘の症状を確認する手がかりになります。
ただし、痛みの有無だけで診断は確定せず、問診や触診、ほかの理学的テストと組み合わせて評価することが欠かせません。
中指伸展テストで痛みの誘発を確認
中指伸展テストは、中指を伸ばす動作に抵抗を加え、肘の外側に痛みが出るかを確認する理学的テストです。
手のひらを下にした状態で中指を持ち上げてもらい、検査者が上から押さえることで前腕の筋肉や腱に負荷をかけます。
そこで痛みが誘発された場合は、テニス肘を判断する際の参考所見の1つとなります。
ただし、似た部位に痛みを生じるほかの疾患でも反応することがあるため、このテストだけで炎症部位や病名を確定することはできません。
肘の上の痛みに効果的な治療法
肘の上の痛みに対する治療は、症状の強さや原因に応じて選択されます。
テニス肘では、まず薬物療法やリハビリなどの保存的治療を行い、改善が乏しい場合に注射や手術を検討するのが一般的です。
ここでは、代表的な治療法とそれぞれの特徴を解説します。
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消炎鎮痛剤の内服薬や湿布による処置
消炎鎮痛剤の内服薬や湿布は、テニス肘による痛みを和らげる目的で用いられる治療法です。
内服薬では非ステロイド性抗炎症薬などが使われ、湿布や塗り薬といった外用薬を併用する場合もあります。
ただし、これらは痛みを一時的に軽減するための対症療法であり、腱への負担そのものを解消するものではありません。
そのため、使用中も痛みの出る動作を控え、必要に応じてリハビリや装具療法などを組み合わせます。
症状が続く場合は、整形外科で原因を確認することが大切です。
ステロイド注射による短期的な痛みの緩和
ステロイド注射は、テニス肘の痛みが強く、日常生活に支障がある場合などに検討される治療法です。
患部周辺に薬剤を注射することで、短期間の痛みの軽減が期待できます。
一方で、効果が長く続かないこともあり、繰り返し行うと腱への悪影響が懸念されるため、回数や適応は慎重に判断されます。
そのため、注射だけに頼るのではなく、負担の軽減やリハビリと組み合わせることが重要です。
実施するかどうかは、症状や経過を確認したうえで医師と相談して決めます。
理学療法士によるリハビリと物理療法
理学療法では、痛みの程度や腕の使い方を確認しながら、前腕の筋肉や腱の柔軟性を高めるストレッチや運動療法を行います。
また、作業姿勢やスポーツ動作を見直し、肘への負担を減らすことも重要な目的です。
なお、必要に応じて温熱や超音波などの物理療法を併用する場合もありますが、治療内容は症状に合わせて選択されます。
自己流で強い運動を続けると痛みが増すこともあるため、専門家の指導のもとで無理なく進め、再発予防まで含めて取り組むことが大切です。
改善しない場合の外科的手術という選択肢
薬物療法やリハビリなどの保存的治療を続けても痛みが改善せず、仕事や日常生活への支障が大きい場合は、外科的手術が検討されることがあります。
手術では、障害された腱組織を処置する方法などが選択されますが、術式は症状や病変の状態によって異なります。
また、手術後は段階的に動きを戻すためのリハビリが必要です。
なお、手術には合併症や回復期間の個人差もあるため、期待できる効果や負担を医師から説明してもらい、保存的治療の経過も踏まえて慎重に判断することが重要です。
自宅でできる予防とセルフケア
予防やセルフケアでは、肘や手首への負担を減らしながら、無理のない範囲で体を整えることが大切です。
ストレッチや筋力トレーニング、エルボーバンド、冷温ケアなどを症状に合わせて取り入れます。
ここでは、自宅で実践できる代表的な方法を解説します。
肩から前腕にかけてのストレッチ
肩から前腕にかけてのストレッチは、筋肉や腱の緊張を和らげ、動かしやすさを保つためのセルフケアとして取り入れられます。
例えば、腕を前に伸ばして手のひらを下に向け、反対の手で指先をゆっくり手前へ引くと、前腕の筋肉を伸ばせます。
また、肩周辺も軽く動かすことで、腕全体の動きを整えられるでしょう。
ただし、強く引っ張ると痛みが増すことがあるため、違和感が強くならない範囲で行い、痛みが続く場合は無理に続けないことが大切です。
再発を防ぐ筋力トレーニング
再発予防には、痛みが落ち着いた段階で前腕や手首の筋力を少しずつ高める方法があります。
例えば、軽いペットボトルなどを持って手首をゆっくり上下させる運動や、柔らかいボールを軽く握る運動などが取り入れやすい方法です。
また、最初から強い負荷をかけず、回数や重さを段階的に増やすことが重要です。
痛みが強い時期に無理な筋力トレーニングを行うと症状が悪化することもあるため、動作中や運動後の痛みを確認しながら進めましょう。
エルボーバンドやテーピングの活用
エルボーバンドやテーピングは、動作時に前腕の筋肉や腱へかかる負担を和らげるために用いられます。
具体的に、エルボーバンドは装具療法の1つとして用いられ、テーピングは補助的に使用されることがあります。
ただし、強く締めすぎるとしびれや血流の妨げにつながるため、装着後の違和感には注意が必要です。
あくまで負担を補助的に軽減する方法であり、痛みが続く場合は装具だけに頼らず原因を確認することが大切です。
アイシングと温熱ケアの使い分け
アイシングや温熱ケアは、痛みやこわばりの状態に合わせて取り入れるセルフケアです。
運動や作業後に痛みが強まった場合は、保冷剤をタオルで包むなどして短時間だけ冷やすと、不快感を和らげられるでしょう。
一方、慢性的なこわばりや動かしにくさがある場合は、入浴や蒸しタオルなどで温めると楽になることもあります。
ただし、冷却と温熱のどちらが適するかは症状によって異なります。
冷やす・温めることで痛みが強くなる場合は中止し、無理に続けないことが大切です。
まとめ:肘の上が痛い原因や対策を知りたい方へ
肘の上が痛む場合は、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)をはじめ、手首や腕の使いすぎ、スポーツや仕事による繰り返しの負荷などが関係していることがあります。
例えば、物を持ち上げる、タオルを絞るといった動作で肘の外側が痛む場合は、テニス肘の特徴と一致することがあります。
なお、症状に応じて薬物療法やリハビリ、装具などが選択され、自宅では負担を減らしながらストレッチや適切なセルフケアを行うことが大切です。
痛みが長引く、しびれや腫れを伴う、日常生活に支障が出る場合は、自己判断で放置せず整形外科を受診し、原因に合った対応を進めてください。

